2017/11/07

再録50 米TVドラマ史における「コルチャック」前編

Studio Voice Vol.272 1998/平成10年8月1日
特集:恐怖絶対主義
phase 03: Rules & Practices /原理と実践

 「事件記者コルチャック」(74〜75)の面白さは、インディペンデント通信社の事件記者カール・コルチャック(ダーレン・マクギャビン、日本語吹き替えは大塚周夫の無敵の快演♡)が謎の怪事件を追ううちに、奇怪なモンスターやクリーチャーにぶつかり、誰にも信じてもらえずその現代の怪奇に対決していくという設定のアイデアとストーリー展開のうまさで、SFテレビの盲点をついたといってもいい快感があった。

 現代の中にもし吸血鬼や悪霊、妖怪やクリーチャーがいるとしたら、それはどこにいるのか。ハイウェーから少し外れたモーテルや人里離れたキャンプ場、ポツンと隔離されたような地方町ではなく、人々が互いの顔さえ見ようとしない喧噪に包まれた大都会のビル街の夜の闇にいるのではないか……というのが「コルチャック」の発送で、これはゴジラがなぜ都市を襲うのかと同じように、現代人の心の闇(ダーク・ゾーン)から生まれたモンスターを描く”第3の都市論”の香りもあって、まさにコルチャックは”現代の怪奇ハンター”として活躍するのである。

 「事件記者コルチャック」には、二本のパイロット・フィルムとなるTVムービーがあって、出版されなかった新進作家ジェフ・ライスによる原作を、SF,ホラー作家で「ミステリー・ゾーン」や「スタートレック」「激突!」のSFテレビの脚本でも知られ、「縮みゆく人間」「ヘルハウス」「ある日どこかで」のSF&ホラー映画の原作・脚本でも有名なリチャード・マシスンが二本共脚本を担当した。

 コルチャックの初登場になる第一作「The Night Stalker」(72年1月11日、ABC-TVで放送。日本では未放送だが、ビデオで発売中)は、ギャンブルとショービジネスの町ラス・ベガスを舞台に、若い女性が夜に次々に殺されていく連続殺人を描いていく。

 ニューヨーク・デイリー社を追い出されてベガスのニュース・デイリー社で事件記者を続けるカール・コルチャック(実はちゃんとセリフでワシントン、シアトル、シカゴでも政治家や役所、警察にニラまれる取材をしてその町で取材できなくなり、町を出てきたという設定が出てくる)は、この怪事件で(なぜか被害者の女性の体からは大量の血液が失われていた)を追ううちに、吸血鬼としか思えない情報を入手していく!
(つづく)

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