2017/07/16

第4回 懐かしいおばけのキャスパー

 TVで放送したアメリカ製のアニメではフジテレビ系で放映していた『おばけのキャスパー』(1959-61)が面白かった。白い半透明で頭がツルツルの男の子のユーレイで、優しい子で寂しがりやで人間の子供たちと友達になりたいのに、仲間のユーレイがおどかすために目の前に出てくと子供たちは皆悲鳴をあげて逃げてしまう。そのさびしげな表情とセリフに不思議なペーソスとユーモアがあって“かわいらしいオバケ”というイメージが新鮮だった。『おばけのQ太郎』ってキャスパーのイメージが原点なのかしらと「少年サンデー」の連載第一回を読みながら思ったのをうっすらと憶えている。
 もちろん内容はまるで違って、Q太郎は落語で言う与太郎タイプの話でその破壊的なギャグのキャラがものすごく同く「少年サンデー」の連載だった赤塚不二夫の『おそ松くん』との対比も抜群で、両作品がヒットするのもそのライバル関係が両方を光らせたのだと思う。

 『キャスパー』は10年くらい前、映画でリメイクされたけれど、CGのユーレイ描写はすごくてもまるでペーソスがなくて、オリジナルのキャスパーの素晴らしさを再発見したものだ。

2017/07/15

第3回 主人公の勇姿

 TV番組を見ていて、日本のTVドラマより外国TVシリーズの主人公は、どこか頼もしい感じがして、二枚目というよりタフガイ、がっしりとした肉体に魅かれたものだ。『ララミー牧場』(1959-63)のジェス役のロバート・フラー、『快傑ゾロ』(1957-59)の主人公ガイ・ウィリアムズ、『ローハイド』のフェイバー役のエリック・フレミング、『バークにまかせろ』(1963-65)のジーン・バリー、『マーベリック』のジェームズ・ガーナー、『シカゴ特捜隊M』の主人公リー・マービン、『ローンレンジャー』の主人公クレイトン・ムーア、『ライフルマン』の主人公チャック・コナーズ・・・日本のTVにはあまり出てこないアウトローというか、自分ひとりで生き抜いていく、サラリーマンタイプじゃないキャラクターばかりで、一人として同じタイプのない主人公ばかりで、メイキングを調べだすと、生みの親が判ってくる。

 原作者、プロデューサー、脚本の中心になって書きまくる脚本家、俳優のこだわり、1話を演出して作品スタイルを作る監督、キャラクターを印象づける異色作をたまに作る監督・・・メイキングを調べる面白さに気付かせてくれた名キャラクターばかりだ。

第2回 音楽の新時代

 外国TVシリーズの何が好きかといって、オープニングのモダンで力強い個性的な主題曲の音楽にまず惚れてしまった。

 特にスパイ・ブームが盛り上がっていく1960年代後半が圧倒的で『0011ナポレオン・ソロ』(1964-1968)の作曲家ジェリー・ゴールドスミス、『バットマン』のネルソン・リドル、『ハワイ5-0』(1968-1980)のモートン・スティーブンス、『スパイ大作戦』のラロ・シフリン、『インベーダー』のドミニク・フロンティア、『宇宙家族ロビンソン』『タイムトンネル』のジョン・ウィリアムズ・・・いずれもすぐに映画音楽の作曲に乗り出していって、その名を高めていく。小さな町の所沢に住む小学生・中学生だった私ですら(所沢のレコードショップで皆、売っていたのだ!)シングル・レコードを買って自宅のレコード・プレイヤーで聞いて何度も何度も聞き続けたものだ。

 映画音楽の新しい時代は、実は映画ジャンルよりひと足早くTVシリーズによって始まっていたのだ。1970年代になって気付いた実感であった。
 

第1回 オープニング


 外国TVシリーズの一番古い思い出って何だろうと考えてみると、『スーパーマン』(1952-1959)や『ローンレンジャー』(1949-1957)のオープニングをまず思い出す。空を飛ぶスーパーマンや「弾丸よりも早く」「力は機関車よりも強く」「高いビルディングもひとッ飛び!」とナレーションのユニークさ、「ハイヨー、シルバー!」と前足を高く上げて愛馬シルバーの上で叫ぶローンレンジャーの勇姿などかっこいいオープニングだった。『SONY号の冒険』のヘリコプター、『ケーシー・ジョーンズ』の蒸気機関車のメカニック映像にメカニックの魅力を初めて感じたものだ。NHKの『ハイウェイ・パトロール』(1955-1959)や『アイ・ラブ・ルーシー』(1951-1957)も字幕だったけれど、オープニングを見ているだけで楽しかった。『コルト45』『ライフルマン』(1958-1963)『拳銃無宿』のオープニングでも銃をぶっ放す映像がかっこよくて子供心にワクワクした。

 『ミスター・エド』(1961-1966)の「♪馬がしゃべる、そんなバカな♪」という日本語のオープニングの主題歌もすぐ覚えてよく歌った。エドの声も「お笑い三人組」に出ていた落語家の三遊亭小金馬(現在は三遊亭金馬)さんでそこも楽しかったのだ。圧倒的だったのはディズニー製作の日本テレビで放映していた『怪傑ゾロ』(1957-1959)でオープニングのラスト、剣先でシュシュッとZのマークに画面が切れるアニメ処理にしびれた。いずれも6歳から8歳ころの記憶だ。