2017/10/18

再録29 M04 ‘マクガイバー’の魅力とは (4)

■バラエティに富んだ脚本


 男の子と女の子が惚れたはれた以外でもおもしろいストーリーが作れるんだ、ということを実証している作品です。

 物語のパターンも驚くほど豊富で、昔の友達の油田探しを手伝ったりとか、昔ジョン・ウェインがやったような油田火災を消すヘルファイターのような話とか、黒じゅうたんのように大挙してやってくるアリから森林を守るかとか、共産圏に行く『スパイ大作戦』みたいな話とか、SFみたいに科学研究所を舞台にした細菌戦争みたいな話もある。アクションだと思ったら、次は秘境探検、その次はコメディ、ファンタジーといったようにとにかく1本として似たパターンがありません。

 しかもラストに偶然で勝っちゃうとか、いいかげんなアクション崩しで勝っちゃうといったいいかげんな脚本がない。必ずマクガイバーの科学知識とピンチ一発逆転の仕掛けがみごとにはまって勝つという、プロがちゃんと作ったしっかりした物語になっています。情景的には『スパイ大作戦』がやってきたことなんですが、それを80年代のストーリーに組み替えてやっているところが非常によくできています。マクガイバーというオリジナルのキャラクターには、ピンチを切り抜けるアイデアが設定そのものの中にビルト・インされているんです。体力もあるし、ロープウェイを腕一本でぶら下がって行くといった、スポーツ・キャラクターでなければありえないようなシークエンスができるんです。


「パラマウント・ビデオ・ホームページ:海外テレビドラマ評論家 池田憲章が語る!」 2005年 再録

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