2017/10/23

再録34 M09『マクガイバー』製作の背景 (1)

■プロデューサーのテリー・ネーションがもたらしたイギリス風味


 第1シーズンでは、「オープニング・ガンビット」といういわゆるアバン・タイトル、冒頭で本編とは関係ないマクガイバーの冒険をとりあえず1本描くんですが、それ専門のスタッフを用意しているんです。本編のエピソードとは違うイントロの5分間ぐらいで、マクガイバーが地図を盗んできたり、ヤバい書類か何かを取り戻してきたりという、そこだけに別のスタッフを組んでやっています。

 第1シーズンのプロデューサーは、テリー・ネイションというイギリスの『Doctor Who』とか『Blake's 7』という作品の脚本を作った人で、イギリスのSFテレビドラマでは超1級のライターなんですよ。『バロン事件帳』とか『セイント』などの脚本も書いていますが、その人がプロデューサーになっていて、またこの人はオープニング・パートを描くのが好きで、やたらオープニング・パートだけ書くんですね。テリー・ネイションは本来イギリスの人で、あんまりアメリカの仕事はやらないんですが、よほど企画が面白いと思ったのか、のって書いています。

 テリー・ネイションが第1シーズンにハイッテいることの重要性と言うのは、番組にイギリス風のユーモアをもたらしたことだと思うんです。実はテリー・ネイションは、伝説的なラジオ番組の『The Goon Show』のスタッフ・ライターだったんです。『The Goon Show』は、ピーター・セラーズとテリー・サザーンが出演したイギリス不条理コメディの源流。モンティ・パイソンの連中がみんな気が狂ったように追いかけられていた.最も知的なギャグ集団のライターの1人だったんですね。

 だから『マクガイバー』というのは、イギリスのコメディとSFの要素がテリー・ネイションが入ることによって導入されたようで、明らかにアメリカ風じゃないんです。

「パラマウント・ビデオ・ホームページ:海外テレビドラマ評論家 池田憲章が語る!」 2005年 再録

0 件のコメント:

コメントを投稿

 コメントへの対応は、時間がかかる場合があります。ご了承下さい。