2017/10/22

再録33 M08テレビドラマ史の中の位置づけ (2)

■『冒険野郎マクガイバー』が守り抜いた外国ドラマ女性ファン


 日本で放送された外国テレビドラマの歴史の中での位置づけで言うと、もし『マクガイバー』がなければ、今日の外国テレビドラマ・ファンというのは、いなくなっていたと思います。80年代に外国テレビドラマが地上波でまったく放送されなくなっていた時期があるんですが、その中で唯一残っていたのが『マクガイバー』だったんです。

 70年代は、ベテランのオジさん刑事が主人公のドラマが主流で、若い女性ファンが観る作品がなくなってしまった。その中で『刑事スタスキー&ハッチ』と『白バイ野郎ジョン&パンチ』が女性ファンを取り戻して、い途切れかかったのを『マクガイバー』が1本で守り抜いたんです。まだBSやCSのチャンネルがあまりなかった頃ですから。

 『マクガイバー』は明らかに男性ファンよりも女性ファンのほうが多い。それはやはり、マクガイバーが女の子に優しくてずるいことをしない。さっぱりしていて性格が明るい。とにかく笑顔が素敵で、落ち込まない。女性ファンはマクガイバーの優しさと、お喋りするよりは行動みたいな、ストイックなヒーロー像に惹かれるんです。マクガイバーの不思議なところは、女の子とはイチャイチャしない。優しいだけというのが特徴的です。アメリカのこの手の作品では、めったにいないキャラクターです。それはヘンリー・ウィンクラーたちの狙いなんだと思います。意図的に、そう創っている。

 ところが、マクガイバーには、女の友達が山のようにいる。昔、腐れ縁で事件を解決して、女の子のほうはマクガイバーが好きなんだけど、マクガイバーにはその気がないから友達にしかなれないみたいなのが、至る所にいる。今時いない、まさにフィクションだけで存在する男ですね。だから深夜の放送にもかかわらず『マクガイバー』は女性ファンに愛されたのだと思います。ですからこのDVDは、ぜひ女性の方に買って欲しいと思います。マクガイバーは、本当にステキな人間像ですからね。

「パラマウント・ビデオ・ホームページ:海外テレビドラマ評論家 池田憲章が語る!」 2005年 再録

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