2017/09/09

TVF11 池田→松岡(2017年7月29日)

 エド・ビショップがなくなる2,3年前、アメリカで放送しなかった『謎の円盤UFO』の「時間凍結作戦」やドラッグがからんだアン・ハッピーエンドの結末について「『ソプラノズ』が今、普通に放映されていることを考えれば、ちょっと早すぎたのかもしれない」とコメントしていて、『ソプラノズ』を例に『謎の円盤UFO』を語るのかとびっくりしました。エド・ビショップの心の中はイギリス人ですから、やっとアメリカのTV界も1970年代のイギリス並みになったってことかなと微笑されているような気もしてます。

 手紙を読んでいてケーブルTVの新傾向がネットワーク中心のアメリカTV界を変えつつあるという評論に感心している思いが見えて、ひとこと言いたくなってきました。私たちはTVウォッチャー、TVドラマ研究者であってTV評論家ではありません。あくまでも面白いから他人に言われなくても海外ドラマを見続け、気になるから文献や雑誌を集めて、自分が魅かれる作品を作ったスタッフ(プロデューサーや脚本、監督、撮影監督)やキャストの情報を追っているのではありませんか?

 アメリカTV界の傾向や暗いシリアスなドラマがなぜ増えているのか、そんなものを分析するのに何の意味があるのでしょう? 私はHBO(最初に作った作品は『レイ・ブラッドベリ劇場』だったはずです)の『ソプラノズ』から『ウエストワールド』の流れなんてどうでも良いし、(スタッフが違うのですからCBS-TVの作品論を論じるようなものです。意味がない)、例えば『OZ』の頃だって、ネットワークの『NYPDブルー』『ホミサイド』が負けているとは思えません。

 十把ひとからげの作品論、時代論は私たち1本、1本をTVの前に座って手に汗を握って一喜一憂したTVファン&TVウォッチャーにとって論破しなきゃいけない相手だと思うくらいです。私たちTVウォッチャーは一話、一話の中で頑張って戦っている脚本、監督、撮影、美術、俳優、作曲家、録音スタッフの映像に刻印した“人間の仕事”をしっかり感性と言うセンサーでチェックして味わうことで、作品は初めて生きるのです。

 私たちは見巧者になるべきであって、TVを評論してこと足れると思っているようなデータとしてTVドラマを見る人間とは同じ地平に立つべきではないと思っています。面白いから、語りたいから作った人を知りたいから、TVドラマを追い、SFテレビが大スキなのに、SFじゃないTVドラマでも息を呑むような手応え(『ダウントン・アビー』がそうですし、イギリスの渋い刑事物がそうですね。『大草原の小さな家』の)も知っていますし、両方やれるスタッフはいくらでもいるのも両方見て知っています。データを積み上げて、印象批評のような結論で納得ならナンノコッチャなのです。

 例えば9.11以降のアメリカのTVドラマがその意識下にあるという「映画秘宝」チームの言い方にも「本当かよ!?」と私は言いたいのです。そうじゃない、すぐれた “人間を描く” TVドラマを山ほど知ってますし、現代を生きる人間のドラマである以上、要素のひとつでしかないはずです。『ドクター・ハウス』とか、シニカルで皮肉な人間観のドラマは私の好みで、『24』や『CSI』を見ていると『ドクター・ハウス』や『シックス・フィート・アンダー』とか見たくなります。『NCIS』はまだ見ていられるのですが・・・。作品を論じるべきであってその放送した時期の社会を論じるのは本道じゃないんじゃないかな〜。

 聖咲奇さんに言われたことに戻りましょう。

 往復書簡の手紙と互いのベスト15、作品リストを見て「アイデア的にいいのは『フリンジ』ぐらいで、オールタイムベストには1本も入らない感じだな」ですって(笑)。正論で『スタートレック』や『ミステリーゾーン』に比べたらベスト15は成立しない感じです。

 しょせんベスト15というのはイベント企画で作品研究ではないからです。これはSF小説を例に出せば『火星年代記』『華氏451』『破壊された男』『幼年期の終わり』『銀河帝国/ファウンデーション』『地球の長い午後』の名作と、ここ20年の新作SF小説を比べて、ベスト10に入らなくてもしょうがない。SFウォッチャーとしては新作は新作で追えばいいのです。1983年〜2003年のSFテレビリストもやりましょう。マイフェイバリット作品についての往復書簡でもいいですよ。

 実は『新スタートレック』の私が好きなエピソードについての文章を公募して、毎年2シーズンくらいのスピードでSFファンの語る『新スタートレック』以後の4部作全ての作品研究ムーブメンツを作りたいのです。まだ日本版のスタッフ、キャストも元気な人が多く(加藤精三さんが亡くなったのは惜しいですね)、アメリカ本の翻訳じゃない、アメリカ人の評価をなぞらない“僕らの『新スタートレック』論”を書きたくて仕方がないのです。

 それでは、大会まで1ヶ月をきりました。会場でお会いしましょう。

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