2017/09/09

TVF12 松岡→池田(2017年8月13日):往復書簡最終回

 お手紙を読んでなにか“偉く見せたい自分”を看破されたようで、とても恥ずかしくなりました。なにか、地元のスターベース神戸の例会で海外ドラマのディープな知識を披露して悦に入っている場面を見透かされた気がして冷や汗物です。

 ただ、一つ弁解させてほしいのですが、実は僕がとても大好きなTVのことを書いたエッセイがありまして、それがSFマガジンに掲載された『ベトナム戦争時のスタートレック』なのです。なにしろ20年前の文章なので失礼ながらコピーして送らせていただきますが、僕が子供の頃に見ていてひっかかった(違和感を抱いた作品。『スタートレック/宇宙大作戦』にはそんな話がいくつかあってそれこそがこの作品にのめり込ませた原因だと思っています)エピソードの「カヌーソ・ノナの魔力」と「細菌戦争の果てに」についての細かい考察が述べられています。これを読んで自分が抱いた違和感の正体に気づかされた、あるいは理論的に解説されたように感じて非常に感動したのです。面白い作品を見たときに、「なぜこのエピソードが面白いのか、そして心に残るのかを解読したい」という部分がどうしても否定しきれないのです。

 ただ、それを言ってしまうと「結局シナリオだけじゃないか」となってしまって以前に池田さんに指摘された「松岡君は脚本を重視しすぎる」という弱点を見事に露呈してしまったわけですが。さらに後半で池田さんが指摘された “アメリカ人の評価をなぞらない” というのにもズキっとしてしまいますが、ただ、どうしても海外文献を読む度にそういう評価まで受け取ってしまっている自分がいるわけですが。

 ただ、SF大会というイベントでイベント企画をやるぶんにはこれはこれで一つの方法ではないかなあ、とも思います。例えば僕があげた『アウェイク 引き裂かれた捜査官』なんてストーリーもですが、演技とか設定とかも微妙に良く出来た作品で、SFに分類されるのは間違いないけれども、いわば一種のゲテモノで、ここで言っておかないと誰にも再評価されないのではないか?といった危惧みたいなものも感じます。

 ともあれ、今回ベスト15を選出したことで様々な形で今の自分の視点を見ることもできたので、それはそれでよかったと思っております。大会まであと2週間となりました。準備しておきますので、よろしくお願い申し上げます。

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