2017/08/27

第16回 不滅の傑作『ヒッチコック劇場』

 ホストが冒頭に出てきてひとくさりトークでストーリーの入り口へと視聴者を導いていくというのは『空想科学劇場』では科学ジャーナリストのトルーマン・ブラッドレーが語り、『ディズニーランド』では製作者のウォルト・ディズニーが語るとあったけれども、決定版となったのが『ヒッチコック劇場』(1955-62)のアルフレッド・ヒッチコックだろう。映画『レベッカ』や『白い恐怖』とホラー映画、サスペンス映画の巨匠として知られていたヒッチコックだが、この番組企画はレビュープロ(後のユニバーサルTV)がTVでホラーの毎回読み切りの番組を制作しませんかと提案したところから始まる。ヒッチコックはTVには関心なかったが、彼を支えていたプロデューサーのジェーン・ハリソン(ミステリー作家のエリック・アンブラー夫人だ)がすぐに反応した。「家庭の中でまだあまり知られていないミスター・ヒッチコックの面白さを知ってもらえる絶好のチャンスだ。あなたのファンが増えて興行的にも絶対プラスになるから」とヒッチコックを説得した。

 ヒッチコック自らも10本以上監督して(ほとんどDVDで発売されている。必見!)ロアルド・ダール、ロバート・ブロック、レイ・ブラッドベリ、ヘンリー・スレッサーと粒よりの原作、無名作家だがキラリと光るアイデアと脚本の出来がよくて、てだれの監督が30分の中でよくまとめあげた。後に60分の『ヒッチコック・アワー』も作るが、200話以上で完成度を守り続けた。TV史に残る名短編集でTVドラマの魅力とは何かがそこにあるのだ。

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