2017/08/28

第22回 美しいセリフの『ミステリー・ゾーン』

 1971~3年頃、アメリカのTV界に大きな変革が始まって、ブラック・コメディの大ヒット作『All in the Family』(日本未放映)『ポリス・ストーリー』『刑事コジャック』ベトナム戦争も戦地から中継したCBSのドキュメンタリー番組『60 Minutes』で放送コードで3大ネットワークが放送前にチェックしていたスラングや汚い言葉があまりに増え、『All in the family』など半分のセリフが真赤(NG)になり、有名無実化して実際に戦場で街でスラム街でしゃべっている言葉が3大ネットワークで流れ始めた。ダン・ラザーなどのアンカーマンが兵士にインタビューした時、いらだつ兵士がきれいな言葉で話すわけがないのだ。

 1959~64年に放送された『ミステリー・ゾーン』はサーリングやリチャード・マシスン、チャールズ・ボーモント、ジョージ・クレイトン・ジョンソンとブラッドベリ風の詩情あふれるセリフやハードタッチのナレーションでセリフを磨き上げていた。1950~60年代はアメリカのSF短編黄金時代でもあった。ベトナム戦争が悪化していく頃でキューバ危機と冷戦のど真ん中でもあった。文明批評と人間社会を見つめるサーリングのセリフは特に光っていた。英語でも『ミステリー・ゾーン』を聞いてほしい。まさにセリフで読むSFなのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 コメントへの対応は、時間がかかる場合があります。ご了承下さい。