2017/08/28

第23回 忘れられない『ミステリー・ゾーン』

 幾多の傑作がある『ミステリー・ゾーン』ラストの第五シーズン第26話「暗黒の死刑台」という話が忘れられない。

 現代のアメリカ、西部のある小さな町の留置場から物語はスタートする。中年の保安官、若くて調子のいい保安官助手・・・そして留置場の中で目をギラギラさせ、どこか怒っているような青年。保安官助手は「いよいよ明日の朝8時で処刑執行だ」とどこかうれしそう。「怖くはねえや」と青年。保安官は「やりなおせばこんなことにならなかったんだ! くそっ」とつぶやく。青年を良く知る牧師がやってくる。孤児でグレて悪い仲間ができて、盗みにケンカ、半殺しの目に合わせた町の住民は皆若者を迷惑がり、憎んで死刑に決めてしまった。「牧師さん、もういいよ。俺の人生なんてこんなものさ・・・」外の道路で「早く首吊りが見たい」とうそぶく住民。

 翌日、7時50分なのに廻りは真っ暗、夜が明けていない。でも時間だと首吊りの処刑場へ青年を連れて行く保安官。「早く死んじまえ!」「この悪人!」と叫ぶ町の人々。牧師がガマンできず「彼をこうさせたのはあなたたちだ。罪人はあなたたちなんだ!」その頃、保安官事務所のラジオニュースが聞こえる。「アメリカ西部のある町、東西ドイツの国境地帯、南北朝鮮の国境地帯が朝になっても闇に包まれる奇妙な現象が起きています・・・」
流れ始めるサーリングのナレーション。
「人間の憎しみが光すら通さない闇の空間を作り出しているのです。アメリカの平凡な西部の小さな町。人間が生み出す恐ろしい闇の世界、そこはミステリー・ゾーンだったのです」

 闇に包まれている小さな町の航空写真、どんどんカメラが空に上がっていくと、アメリカ西部の一部分だけがブラック・スポットになっている明るいアメリカ全土の航空写真になっていく・・・。

 中学2年でこれを見たショック。モンスターや殺人シーンよりも怖かった。これで私はSFTVにつかまってしまった。ロッド・サーリングの脚本作品であった。

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