2017/08/28

第27回 シービュー号の2人の主人公

 普通の潜水艦の映画では頼りになる名艦長が主人公で『眼下の敵』や『深く静かに潜行せよ!』でもクルト・ユルゲンスやクラーク・ゲーブルが演じていた。

 アーウィン・アレンはジュール・ベルヌの海洋SF小説『海底2万マイル』が好きでノーチラス号を設計・建造したネモ艦長の魅力が忘れられなかった。それでシービュー号を設計・建造したネルソン提督(リチャード・ベースハート)と部下を率いてシービュー号を指揮するクレイン艦長(デビッド・ヘディソン)の2人主人公という創始となった。普通の海軍ではなく、ネルソン科学研究所所属の原子力科学調査船でアメリカ海軍や国連、NATOの依頼で世界の平和を乱す怪現象や陰謀と戦うファジーな設定がいろいろなタイプのストーリーを呼んだ。

 艦内の衣装も「実際の海軍制服より未来的でちょっと宇宙服みたいなイメージがほしい」とアレンが注文を出し、ポール・ザツネビッチ衣装監督がデザインをまとめあげた。エンジニアの赤いつなぎの制服、ブルーの操舵チームの制服、士官服はクリーム色のシャープなフォルム、これは判りやすく後に『スタートレック/宇宙大作戦』のUSSエンタープライズ科学班はブルー、エンジニアは赤色の上着と明らかに影響を与えていた。

 ミリタリー物でありながらSFタッチに寄せてあるのが名アイデアで、だから巨大半魚人や巨大鯨と戦っても違和感がなかったのだと思う。

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