2017/08/30

第87回 映画『地獄の黙示録』をもたらしたもの

 フランシス・フォード・コッポラ監督の大作映画『地獄の黙示録』の中で、最大の見せ場となるのはワーグナーの音楽を外部スピーカーで流しながら、ヘリコプターの編隊攻撃でベトナム村民の村を攻撃する爆発、炎上シーンだが、コッポラはあのシーンのために実際にベトナム戦争に従軍していたヘリコプター・パイロットを集めた。

 ただし、戦場で傷ついたアメリカ兵を救出にかけつける兵士たちが “Aチーム” と呼んでいたレスキュー・ヘリ部隊のパイロットたちだった。名物隊長みたいな人がいて、アメリカ全土に散って、大都会の観光ヘリや農薬の散布ヘリ、ハワイの観光ヘリで食いつないでいた仲間たちを呼び寄せたのだ。画面の中で飛んでいるヘリもそうだが、それを撮影していく空撮用のヘリコプター操作まで手伝った。

 大掛かりな撮影だったため、ハリウッドの仕事は面白いと映画会社やTVシリーズの仕事を引き受けるヘリコプターのサービス会社が何社か生まれていった。そこに仕事を頼んだのがドナルド・P・ベルサリオだった。ハワイを舞台にした私立探偵もの『私立探偵マグナム』で、マグナム(トム・セレック)とベトナム戦争での戦友のハワイ観光のヘリコプターのパイロットが捜査に協力、アクションの撮影にも生かされ、作品の軽快さ、スピード感もレベルアップしていったのだ。

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