2017/08/28

第35回 『スタートレック』を支えた名特撮マン


 『スタートレック』を初めて見たファンは、皆ワープ航法の流れるようなUSSエンタープライズ号のスピード感満点の飛行シーンと惑星の衛星軌道を廻るゆったりしたUSSエンタープライズ号のシャープな特撮映像に魅了された。

 アームバーでブルーバック前に固定された約3.6 mのエンタープライズのミニチュア(ハワード・アンダーソン・カンパニー製作の大型ミニチュアだ)を移動車のカメラで撮影していたのはフリーになっていたリンウッド・G・ダンカメラマンだった。彼はRKO映画で『キングコング』『市民ケーン』『ポンペイ最後の日』の合成シーンを手がけた合成主任で、アメリカの移動マスクでドラマ・パートと特撮パートを合成していく合成マシン、オプチカル・プリンターを作り上げた父親の一人であった。映画『おかしなおかしなおかしな世界』の合成シーンも担当していた。

 惑星の地上の建物や情景のマットアートや転送シーン、宇宙の合成は映画『タイムマシン』後に『インベーダー』の合成も手がけるハワード・A・アンダーソンがまとめあげた。転送シーンはロッデンベリーの「ピーターパンやティンカー・ベルみたいな光のきらめきが欲しい」という注文をアンダーソンは見事にヴィジュアル化、小型宇宙船で惑星表面に降りていた宇宙物のイメージを破っていて『スタートレック』の作品イメージを代表する特撮イメージを生んでいた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 コメントへの対応は、時間がかかる場合があります。ご了承下さい。