2017/08/30

第63回 SFファンが見る 『プリズナーNo.6』

 『プリズナーNo.6』はスパイ物かSFTVかというのは長くファンの間で語られているが、『ジョン・ドレイク』をベースにスパイ物の世界から生まれたストーリーであるのは間違いないだろう。ただ、この中でジャック・シャンパン美術監督が生んだ村民を監視する<村>の中央センターや<ローバー>と呼ばれる謎の白い球体のガーディアンの描写(セット・デザインには『サンダーバード』『キャプテン・スカーレット』のコンソールとセット・デザインをしていたジョン・ラギュー・デザイナー引き抜かれて参加して腕をふるっていた)SFタッチの装置のイメージが作品の味わいにあるインパクトを与えていたのは間違いないと思う。そのSFモードは不条理にも似たテイストを生んでいて、その演出モード、編集が50年たっても斬新なのだ。

 第一話のドン・チャフィー監督の演出、ジョン・ライズナー作曲の軽快でダイナミックな音楽のオープニングの力強さ(雷鳴や車の排気音、ガツン、ガツンという靴音、ドアをバーンと開く音までカットと合わせるエフェクト音のカッコよさ。TVドラマ史上に残るオープニングの秀作だった)全話を撮影したブレンダン・J・スタフォード撮影監督の屈しない男No.6の顔のアップの表情のシャープさ、第一話で仰天した作品だった。

 日本語版の翻訳は木原たけし、加藤敏ディレクターでNo.6の声は小山田宗徳。対決するNo.2は若山弦蔵、矢島正明と主役クラスを配役。迫真のドラマを日本語に移し変えていた。

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