USSエンタープライズ号の船長であるジェームズ・T・カークはウィリアム・シャトナーが演じたが、クリストファー・パイク船長(ジェフリー・ハンター)が初代の船長で、2代目の船長だった。
1本目のパイロット・フィルムは船内服も違うし、キャプテンズ・シートやコンソール、コンピューターの情報のアウトプットも紙テープだったり、まだ中途半端だった。ロッデンベリーを支える副プロデューサーのボブ・ジャストマンやマット・ジェフリーズ美術監督達スタッフの協議で、カーク船長バージョンになってシリーズのフォーマットが完成するのだ。
ウィリアム・シャトナーはAIP映画で暴走族や怒れる若者像の演技で注目された映画俳優で、SF作家チャールズ・ボーモントが脚本を書いた映画『侵入者』で、あるアメリカ南部の町を訪れたセールスマンが黒人差別をあおって町の住人のほとんどがヒステリー状態になって、自分のセールスを成功させようとする心理ホラーの異色映画で熱演して注目されたり、『ミステリー・ゾーン』で2本のSF作家リチャード・マシスンの脚本エピソードでTVファンに高い評価を得ていた。
シャトナーはカークの役柄について「カークはまるで海洋小説のホーンブロワー船長の成長する物語のようで、面白いと思った」と、初めてのTVシリーズの主役にやる気満々だった。カークとミスター・スポック、船医のドクター・マッコイとの対比もよくて演技合戦の面も楽しめた。だが、まさか50年を越える人気を得ようとは、さすがのシャトナーも気づかなかった。
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