2017/08/30

第45回 ファミリー向けを目指したアーウィン・アレン

 『原子力潜水艦シービュー号』をABC-TVで成功させたアーウィン・アレンは、今度はCBS-TVで『宇宙家族ロビンソン』の放送をスタートした。無人島に漂流したロビンソン一家の生活を描く『ふしぎな島のフローネ』をヒントにしたその宇宙版で、子供向けの番組と言われているが、プロデューサーの狙いはファミリー向けのSF冒険物語の開拓にあった。アレンは少年時代に読んだ『ロビンソン・クルーソーの冒険』や『宝島』の楽しさが忘れられなかったからだ。

 アレンはカラー作品を望んだが、CBS-TVがカラー作品をOKしなかった。カラー化されることを予想し、金のかかる特撮シーンのみをカラー撮影してその宇宙船ジュピター2号の飛行シーンは第二~第三シーズンで使われることになる。L.B.アボット特撮監督と宇宙戦車や飛行ミニチュアの操演がうまいハワード・ライデッカー特撮監督の相性がよく、目を見張る特撮シーンが少年ファンや大人たちを驚かせた。

 パイロット版では存在しなかった、某国スパイの悪役ドクター・ザッカリー・スミス大佐(ジョナサン・ハリス)がレギュラーに加わったことで一家のウィル少年(ビル・ムーミー)とロボット・フライディの3人のユーモラスな会話と事件のきっかけとなるシチュエーションを生み出し日本のSF作家小松左京氏などは「ドクター・スミスを見るだけで面白い!」と従来のSFTVにない味わいを生み出し続けた。今でも“子供だまし”と語られる『宇宙家族ロビンソン』の魅力はまさに1960年代の楽しさにあったのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 コメントへの対応は、時間がかかる場合があります。ご了承下さい。