2017/08/28

第36回 『スタートレック』にSF作家が集結

 『スタートレック』のセカンド・パイロット作品「光る目玉」の脚本を書いたサミュエル・A・ピープルは古いSFファンの作家で、ミステリーや西部劇小説、ホラー小説、ユーモア小説を書いていた。やたらとあらゆる小説を書くので「アスタウンディング・サイエンス・フォクション」誌の編集長ジョン・W・キャンベル(ロバート・A・ハインライン、ジョン・ヴォークト、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラークなどを育てた名編集長)が、なぜうちには書かないのかと聞くと「SFは僕の本当の道楽なので仕事にしないのです。誰があなたの雑誌に書きますか」と言い、キャンベルを唖然とさせた才人であった。

 ピープルはロッデンベリーの企画を読んで『スタートレック』が『レンズマン』のような宇宙ポリスのイメージなのに気づいていた。「ジーン、ハインラインの少年向けの『スペース・アカデミー』を読んでないだろう。良い参考になると思うぜ」。 ピープルはSF作家に友人が多く、ジーン・ロッデンベリーに紹介した。リチャード・マシスン、ジェリー・ソール、シオドア・スタ-ジョン、ジョージ・クレイトン・ジョンソン、ロバート・ブロック、ハーラン・エリソン、ノーマン・スピンラッドたちが原作提供ではなく自ら脚本を書いて参加してくれ、何本もの秀作が生まれていった。

 ジーンを支えるプロデューサーのジーン・L・クーンは脚本の名手で、ジーンを長く手伝ってきた女性脚本家のD・C・フォンタナもなかなか面白い脚本を生み始めた。アメリカのSFファンは『スタートレック』の脚本クレジットで一流のSF作家の名前を見て「こんな作品が出来るなんて!」と感激していたのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

 コメントへの対応は、時間がかかる場合があります。ご了承下さい。