2017/08/30

第71回 『刑事コロンボ』の手練のスタッフ

 『刑事コロンボ』の成功は傑出したスタッフによる力が大きかった。脚本のリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクにスティーブン・ボチコ、ラリー・コーエン、ピーター・S・フィッシャー、監督のボリス・セーガル、スティーブン・スピルバーグ他実力派のスタッフが揃い、TVミステリの裾野を広げていった。

 最初にセレブの犯人が知能犯ならではの犯罪を起こすシーンを丁寧に見せていき、妻の、ダンナの、相棒の死を見せてから翌日ロサンゼルス市警のコロンボ刑事(ピーター・フォーク)が警察関係の検死作業の中に遅れて登場してくる。くしゃくしゃの起きぬけのような髪の毛にヨレヨレのレインコート、口には葉巻をくわえて・・・

 日本語版ではクセのある悪役や脇役のうまい芝居で有名な俳優の小池朝雄がコロンボを演じてこのキャラクターを立体化していった。翻訳は『コンバット』『逃亡者』を担当していた額田やえ子で、同時に額田やえ子は『刑事コジャック』も担当して、デカ(刑事)の呼吸さえ感じさせるセリフを描き分けて、コロンボやコジャックのセリフをみがきあげていった。

 コロンボの対決するゲスト俳優もジーン・バリー、デビッド・キャシディ、ロバート・カルプ、パトリック・マクグーハン、ベン・ギャザラ、ウィリアム・シャトナー、ロバート・ヴォーンと主役クラスの俳優ばかりでピーター・フォークは30テイクあたり前という演技のこだわりを見せ、「もう一つ良いですか?」とか「うちのカミさんが言うには・・・」と名セリフ、ポーズを生み出し、ピーター・フォーク一代の代表作として放送されていった。

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