1作品であるTVドラマシリーズがその人の生涯のイメージを決定づけてしまうことがある。『ララミー牧場』のジェス役のロバート・フラー、『アンタッチャブル』のエリオット・ネス役のロバート・スタック、『刑事コロンボ』のコロンボ役のピーター・フォーク・・・俳優の例を出せばそれは実感できるだろう。
アルフレッド・ヒッチコック監督は、ホラー映画『サイコ』『鳥』『レベッカ』と数々のサスペンスと恐怖の名作映画を作ったが、『ヒッチコック劇場』(1955-62)の冒頭とラストで語るユーモラスで知的なセリフ、表情であらゆる人がヒッチコックの印象を作り上げてしまった。
ヒッチコックはラスベガスのショーで有名コピーライターを冒頭+ラストトークのために雇い、自分のセリフを磨き上げ十字架に縛られてりスポンサーを皮肉ったり「さすがはヒッチコックだ!」としゃれたトークとユーモアが大好きなアメリカ人(コメディ俳優ボブ・ホープも自分のトークのために何人ものライターを雇っていた。ホープのトークはラジオでもTVでも大人気だった)はニヤリとしながら楽しんでいた。日本語版では俳優の熊倉一雄がヒッチコックの声を演じて、日本テレビの録音時にキャスティングにもアドバイスしていた。後に1970~80年代のCMでヒッチコックが画面に出てきて「みなさん(笑)」と熊倉一雄が声を当てていたのだから『ヒッチコック劇場』は一代の名演技だったのだ。
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