2017/08/30

第78回 ロイ・ハギンズが育てた二人のプロデューサー

 『逃亡者』を企画したロイ・ハギンズは1970年代になっても幾多のヒット作をプロデュースし続ける。『西部二人組』は映画『明日に向かって撃て!』のTVバージョンで、グレン・A・ラーソンに番組を任せて若いファンを獲得していく。『刑事トマ』は実在の刑事だったトマを主人公にして異色のポリス・ストーリーで、スティーブン・J・キャネルが脚本家として育っていく。『刑事トマ』からスピン・オフしたのが『刑事バレッタ』で、変装の名人で潜入捜査と娯楽性を兼ねたポリス・ストーリーであった。

 『ロックフォードの事件メモ』は『保安官ニコルス』で女性プロデューサーと組んで失敗したジェームズ・ガーナーの評判に『マーベリック』の生みの親のロイ・ハギンズが「ガーナー、俺とまた組んでみないか?」と声をかけ、無実の罪で服役した私立探偵、弁護士の女性と恋仲で、運送業社長の父と同居せず、トレーラーで一人くらし。ただ、父さんとは釣り仲間と人物設定を全て作り上げて第一話からスティーブン・J・キャネルにプロデューサー、脚本を任せた。ハギンズは名プランナーであり、プロデューサーを育てる名人でもあった。『ロックフォードの事件メモ』の楽しさは、私立探偵のハードボイルドの香りを知っているハギンズとキャネルが生んだものであった。

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