2017/08/30

第74回 暴力シーン反対に揺れるアメリカTV界

 ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺、キング牧師の暗殺、ケネディ弟議員の暗殺・・・あいつぐ暗殺事件にさすがのアメリカ社会も考え始めてしまった。何かがこうした風潮をあおり、呼んだのではないだろうか? それはTVで毎日見ているTVドラマ番組の銃撃シーンやなぐる、けるの暴力シーンにあるのではという意見が出てきたのだ。ミノー発言といわれる時代のムードが急遽高まっていった。

 西部劇のTVドラマの中で銃は急速に使われなくなっていったり、『スタートレック』のようなSF物でもフェイザー銃を撃たなくなり、会話劇で成立するような『若き弁護士たち』(1969-71)や『外科医ギャノン』(1969-76)などの医者物、ホームドラマやホームコメディが増えていき、アメリカのTVドラマの勢いが弱まってしまった。『ハイ・シャパラル』という西部劇などは飛行機や自動車が出てくるモダンでユーモアも小味が利いた良いウエスタンだったのだが、妙にユーモラスにストーリーを寄せて “なんか変なモードとなったな~、なんだコレ?” といった感じだった。

 この暴力シーン反対のムードの中でTV西部劇の時代は終わり始めていく。長寿番組だった『ガンスモーク』(1955-75)も『ボナンザ』(1959-73)も1970年を過ぎて終幕していくのだ。『スタートレク』の第三シーズンが終わるのも、この暴力シーン反対のムードが理由の一つなのだから、大きな問題だった。1972年頃からこの反動が起こる。アメリカTV界は現実に切り込む刃をといで、時代のリアリズムを取り戻していくのだ。

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