2017/08/30

第93回 革命的だった『新スタートレック』

 1980年代、SF映画に比べて面白いSFTV番組はなかなか現れなかった。その中で『新スタートレック』が現れた時、THE NEXT GENERATIONというコンセプトをよくぞ思いついたというショックがまずあった。TVシリーズに続編やスピンオフは数々あれど、次世代の物語と言うのはSFだからこそ成立するのだが、サーガ物の香りも出ていて、このアイデアだけでジーン・ロッデンベリーはTVドラマ史上に残る人間になったと言ってもいいと思う。

 主人公がピカード艦長(パトリック・スチュワート)というフランス人と言う設定もロッデンベリーならではで、フランス人の役者にロッデンベリーはこだわるが、副プロデューサーのボブ・ジャストマンがシェークスピア劇の公演で話すスチュワートを見て、「彼こそがピカードじゃないか?!」と直感、ロッデンベリーを説得して決定した。

 もう一人の主人公ライカー副長(ジョナサン・フレイクス)、アンドロイドの航宙士データ、視力を電子アイでおぎなっている機関部主任のラフォージ、艦長直属の女性士官カウンセラーで宇宙人とのハーフであるトロイ、はるか昔から生きてきた宇宙人ガイナン(ウーピー・ゴールドバーグというキャスティングには仰天した)・・・とレギュラー陣には『スタートレック』時には仇敵だったクリンゴン人のウォーフまで加わって旧『スタートレック』と匹敵する人物群像があって、スティーブン・ボチコ企画・製作の『ヒルストリート・ブルース』とも共通する群像ドラマがSFジャンルでも始まったのかという実に新鮮なイメージだったのである。

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