2017/08/30

第61回 『タイムトンネル』のベストエピソード

 タイムトンネル計画の主任研究員のダグ・フィリップス博士、若き時間論理の科学者トニー・ニューマン博士、この二人が時の漂流者になってしまう『タイムトンネル』だが、タイムトンネルがまだ未完成のために現代に回収しようとすると、別の時代に転送されてしまうというストーリーはTVシリーズとしてうまい設定だと思った。

 タイタニックに乗ってしまう第一回を見て「とてもTVとは思えない。日本のSFTVがここまで来るのに何年かかるだろう」と小学校6年生で思ったのをはっきり覚えている。

 1910年代のハレー彗星が迫る時代に転送された「世界の終わり」(アレン製作のTVシリーズ常連のソーベイ・マーチン監督)がベスト1のエピソードか。街はパニック状態でダグはハレー彗星の地球衝突を主張する天文学者アインスレーを説得しようと1966年の科学理論で黒板に数式を書いて論証しようとする。ところがダグの計算でも地球と彗星はぶつかってしまうと出た。

 「宇宙空間に目に見えない何かがあるんだ!」とダグ。望遠鏡を向けると“何か”の強力な輻射エネルギーがあった。「目に見えないが、これなら彗星の軌道は変わるぞ」とアインスレー。ところがその輻射エネルギーとは1966年のタイムトンネルだったのだ。タイムトンネルを出口にハレー彗星が現代に飛び出してこようとするクライマックスの迫力!

 タイムパラドックスを越えたSFマインドがあって、ソーベイ・マーチン監督の力量がはっきりと出ていた。『タイムトンネル』はSFTV史上の中でもっと語られていいTVシリーズだと思う。

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