2017/08/30

第75回 現実を描く70年代のアメリカTV界

 1968年頃から泥沼化を続けるベトナム戦争、若者たちの反戦運動、CBS-TVの『60 Minutes』というニュース番組はベトナム戦争の現場に取材記者とカメラを送り込み、現地の兵士の声や表情、情景をアメリカ家庭に送り出した。CBS-TVの放送チェックの倫理委員会はそれまでTVドラマのニュース原稿のセリフを全てチェックし、修正してきたのだが(例えば『ミステリー・ゾーン』のラストシーズンの第一話でロッド・サーリングが書いた、南ベトナムで起きた戦闘のストーリーを北ベトナムでの事件に倫理委員会が修正させていた。南ベトナムでは戦闘は起きていないという意見だった)生放送のために、チェックは不可能だった。

 ブラック・ホームコメディのヒット作『ALL IN THE FAMILY』(1971-79)のセリフは、同性愛、ドラッグ、婚前交渉とフラワーチルドレンのセリフ満載で、半分以上が赤字になってしまい、チェックすることが出来なくなっていった・・・これもCBS-TVのドラマだった。

 『ハワイ5-0』(1968-80)が先行していたオールロケ撮影のポリス・ドラマも1972年クイン・マーチンプロがサンフランシスコを舞台にベテラン刑事のカール・マルデンと熱血漢の若い刑事マイケル・ダグラスのコンビの『サンフランシスコ捜査網』(1972-77)をスタート、1973年にはコロンビア映画のTVプロがロサンゼルス警官のさまざまなポリス・ドラマを毎回主人公を変えて描く『ポリス・ストーリー』(1973-80)(警官出身の作家ジョセフ・ウォンボーが作品アドバイザーになっていた)をスタート。現場の空気がドラマがTVミステリの中に息づく新しい時代がやってきたのだ。

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