2017/08/30

第54回 『鬼警部アイアンサイド』の実力

 ミステリーの私立探偵物の中で、頭が切れて、あらゆる犯罪パターンに精通して、事務所の机の前に座りながら事件のデータを聞いただけで怪事件の謎を解いてしまうアームチェア・ディテクティブ(椅子に座った名探偵)というジャンルがある。TVミステリーの警察物の中でまるでこのアームチェア・ディテクティブを狙ったかと思われたのが『鬼警部アイアンサイド』(1967-75)だった。

 90分のTVムービーであるパイロット・フィルムから始まって、別荘の山小屋で狙撃されたロサンゼルス警察部長ロバート・アイアンサイド(レイモンド・バー、日本語の声は若山弦蔵)が病院へと救急車で運ばれるところから物語はスタートする。一命はとりとめたが、脊髄を傷め、下半身不随の車椅子生活を送ることになる。だが、鬼警部と言われるアイアンサイドは署長に自分で交渉して無料で働く特別顧問として警察捜査に復帰させてくれと頼み込んだ。手練れのアイアンサイドを失うのかと悩んでいた署長はOKを出し、ブラウン刑事とイブ・ホイットフィールド巡査を部下に警察署の階上に仕事部屋を作り、アイアンサイドはあらゆる事件の捜査に乗り出していく。

 『世にも不思議な物語』の企画・脚本のコリア・ヤングが企画し、ユニヴァーサルTVの製作で、8年以上のロングヒット作に成長していく。

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