レイモンド・バーのTVシリーズの代表作はまず、弁護士物の『ペリー・メイスン』(1957-66)だろう。本物の弁護士だったE.S.ガードナーが書いたミステリー小説『弁護士ペリー・メイスン』シリーズが原作でレイモンド・バーはこの作品でエミー賞主演男優賞を受賞している。TVミステリーの中に法廷物というジャンルを確立したTVシリーズで社会派のドラマだった。レジナルド・ローズ製作・脚本の『弁護士プレストン』(1961-65)、ベテランと若手の弁護士の対立で見応えのあった『若き弁護士たち』(1967-71)、型破りの主人公だった『弁護士ペトロチェリー』(1974-76)と弁護士のTVシリーズは個性派揃いだった。
『ペリー・メイソン』は日本ではまずフジテレビで放映して、NHKのホームドラマやTBSの『七人の刑事』で知られた俳優 佐藤英夫がペリー・メイソンの声を演じた。後になって『アイアンサイド』のイメージがあったから若山弦蔵がメイスンの声を演じ、再放送では若山版が多かったと思う。
マイルドな味わいと真面目さが目立つ佐藤版と押し出しのある説得力が若山版。いずれも魅力的だった。これは原作小説がそうなのだが、困っている女性の依頼人をその推理力と弁舌で助けるペリー・メイソンの魅力はまさに頼もしい男性像で、秘書のデラ・ストリートの献身ぶりと、頭の良い、品のあるムードはアメリカTV史の中の秘書像のベスト・イメージで彼女のファンも多かった。
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