2017/08/30

第44回 作品のレベルが高い『アイスパイ』

 スパイ・ブームが起こったアメリカのTV界の中で異色のシリアスさとユーモア満点の2人の主人公コンビで人気を呼んだのが『アイスパイ』だった。世界的なプロ・テニスプレイヤーと黒人のマネージャーが世界で転戦していくが、実は2人はアメリカのCIAのスパイで、アメリカの危機を防ぐため、共産圏スパイや陰謀、テロと密かに戦い続けていたのだ。

 ロバート・カルプがプロ・テニスプレイヤーを演じ、黒人コメディアンのビル・コスビーが知性派の敏腕マネージャーを演じ、コスビーは見事この『アイスパイ』でエミー賞助演男優賞を受賞する。ロバート・カルプは演出指向で監督デビューをこの作品で果たした。この作品はスタジオ中心の撮影だったアメリカのTVシリーズの中にあって、大胆な海外ロケからスタートした作品で、スタッフ・キャストが船に乗って香港、フィリピン、台湾、韓国、日本、ハワイ、アメリカ本国と寄港地で撮影していく作品作りで、日本編もポール・ウェンドコス監督がちゃんとディレクションして作品をまとめて日本のファンを感激させた。

 スパイの非情さや裏切りを見せるエピソードも多く、ロバート・カルプやビル・コスビーも名優で外国TV研究家の岩井田雅行氏は「アメリカのスパイものの中でピカ1の作品だ」と評価している。音楽も毎回新しく作曲して収録。バンク曲がないと知って演出したロバート・カルプは驚いて感激したと語っていた。

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