2017/08/30

第67回 『奥様は魔女』のヒットの理由

 『奥様は魔女』(1964-72)の魅力は、中心監督ウィリアム・アシャー監督の明朗な作品タッチ(彼はビーチ・ムービーのヒットメーカーで、不良ムードを一掃してしまった。なぜなら彼もサーファーで、サーフィン仲間の気質を知っていたからだった)製作時にエリザベス・モンゴメリーと新婚状態だったアシャー監督は「君の代表作を必ず作ってあげるよ」といつも彼女に語っていた。

 魔女であるサマンサを演じるエリザベス・モンゴメリーのキュートで笑顔がステキな若奥様ぶり、サマンサが愛するダーリンを演じるディック・ヨーク(戦争中の古傷である腰痛が悪化してヨークは降板するが、二代目ダーリン役のディック・サージェントは元々ダーリン役のオーディションで二番目の候補だった俳優でダーリンのイメージは変わらなかった)。人間と結婚した娘サマンサが気に入らず、ダーリンにことあるごとにイタズラの魔法をかけるエンドラを演じるアグネス・ムーアヘッドのアンサンブル。

 ムーアヘッドはオーソン・ウェルズがラジオで多用したベテラン女優で、自分のメイクやエンドラの役柄に物足りず、「どういうこと?」と思っていたが、高まる番組の評判に「女を認めないアメリカの男社会を笑ってやろう」という意識変化が起こり、自ら監督に演技プランを言い出すほど役柄に熱中した。

 日本では『奥様は18歳』(中心ライターは佐々木守だ)魔女っ娘第一号アニメ『魔法使いサリー』日本版メリー・ポピンズうぃ狙った『コメットさん』(原案はこれまた佐々木守)『うる星やつら』と数々のラブ・コメディの影響作が出現した。

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