2017/08/30

第82回 苦闘するスティーブン・J・キャネル

 『ロックフォードの事件メモ』を成功させたスティーブン・J・キャネルは自分のプロダクションを作って、TVシリーズの製作に乗り出していく。しかし、すぐには成功しなかった。『UFO時代のときめき飛行/アメリカン・ヒーロー』はTVムービーからシリーズ化したが、主人公役のウィリアム・カットが真っ赤で“中”とお腹に書いてあるスーツを恥ずかしがって「TVガイド」の表紙にあの格好で映るのをNGにして中ヒットの出来だった。面白い作品だったが。

 これで失敗したらプロダクションをたたむかと挑んだのが『特攻野郎Aチーム!』だった。ベトナム戦争で傷ついたアメリカ兵士をヘリコプターで救出にやってくるAチームのメンバーが南ベトナムをアメリカ軍が撤退する時、ある銀行へ行く命令を受け向かったら現金を奪った戦争犯罪の罪を問われ、一度は捕らえられるが、見事に脱走してアメリカの裏社会にもぐった。無実の罪に問われ、警察も誰も助けてくれない時、「コール・ザ・Aチーム!(Aチームを呼べ!)」必ず俺たちが助けてやろうというオープニングナレーションのうまさ!!

 これはアメリカの民間伝説「レインマン」の現代版で困っている人を丘を越えてやってくる「雨が降るな」と呟く不思議な男が救ってくれるというヒーロー像であった。雨アラレと銃をぶっ放しながら誰も死なない痛快なクライム・アクションで、キャネルの才能がはっきり出ていて、番組は大ヒット、キャネルは一流プロデューサーとして認められたのだ。

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