2017/08/30

第92回 クリス・カーターの企画『Xファイル』

 1980年代のアメリカSFTVは、なんといっても『Xファイル』のヒットと『新スタートレック』の登場が大きな話題だった。

 『Xファイル』はアメリカ人なら誰も思っていた“政府は国民に黙って悪い事をしているにちがいない”という考えをちょいと突いて、“やはり!”と思わせるアイデアで、プロデューサーのクリス・カーターはこの企画を売り込むのにTV局や製作会社が判ってくれず「ほら、何年か前に『事件記者コルチャック』って怪物や妖怪が出たゴーストハンター物のTVシリーズがあったじゃないですか、あのUFO, FBI版なんですよ」と言い出してやっと判ってもらったという顛末だった。

 FBIの中に「Xファイル課」というUFO事件やモンスター・怪奇現象専門のセクションがあってというクリス・カーターのアイデアは見事で、モルダー捜査官、ドクターでもある女性スカリーのコンビも新しい相棒のイメージを生み出した。本当か、嘘か判らないフィクション・ミステリーの味わいが最初からあって、UFOの番組イメージが若いファンにあそこまでアピールするとは思わなかった。

 SFTV空白の時代にアメリカで大ヒットして、日本ではレンタルビデオ店でブレイクして、TV放送されない外国TVシリーズがレンタルビデオで視聴する『24』にもつながるムーブメントは、『Xファイル』が生み出したものだ。特撮や特殊メイクの使い方も秀逸なTV番組だったと思う。2016年からの新シリーズが放送中だ。

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