2017/08/30

第76回 ニューヨークの現実を活写する『刑事コジャック』

 1960年代後半の警察ドラマは、スタジオ内の署内のドラマが大半で、街を主人公が乗る車が走るシーンも車だけで別人が乗るB班撮影の映像が多かった。『鬼警部アイアンサイド』『FBI』『警部ダン・オーガスト』『スパイ大作戦』・・・・

 それが1972年頃から変わり始めた。ニューヨ-クのスラム街で初めてロケ撮影を敢行したのが『刑事コジャック』で作品アドバイザーとしてニューヨーク市警の刑事だったソニー・グロッソが設定や細かいセリフにもアドバイスした。ソニー・グロッソは映画『フレンチ・コネクション』でジーン・ハクマンが演じたポパイのモデルになった人物で、やがて警察を辞めてTV界で働くようになる。

 コジャックは3時間TVムービーの、実際に1960年代に起きた殺人事件をモデルにアメリカの犯罪に対する法律を変えてミランダ判例を生み出した事件をドラマ化したストーリーで、事件を担当したニューヨーク市警の刑事、テリー・サバラスが演じたそのキャラクターがもったいないとTVシリーズ化された珍しい作品であった。

 日本語版は額田やえ子が翻訳し、ドスの効いたサバラスの口調を森山周一郎が演じていて、1970年代のハードタッチの風を呼んだ。コジャックはギリシア系のアメリカ人(テリー・サバラスはギリシア系だった)で、イタリア産の三つ揃いのダンディなニューヨーク派で、イタリア産のコロンボの洋服にこだわらない性格と好対称で、新しい刑事像を見せた両作品でもあった。

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