2017/08/30

第77回 ニューヨークが舞台の『警部マクロード』

 ニューヨークの市民が歩く雑踏の中を進むカウボーイハット、ブーツ姿のひときわ背の高い男、マクロード(デニス・ウィーバー)。『警部マクロード』の象徴的な1カットだが、大都会ニューヨークの中でどこか浮いている西部の男性が映像化されていた。

 映画『マンハッタン無宿』でクリント・イーストウッドが演じていた西部から犯人を追ってニューヨークへ来た警察官がとまどい、それでも正義を貫き通すキャラクターをTVドラマ“シリーズ”の主人公に組み直したのだ。

 『アウター・リミッツ』『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』のレスリー・スティーブンスが第一シーズンのプロデューサー・監督を手がけ、大都会の雑踏の中を一人事件を追い続ける情景はマクロードの孤独とただ一人戦う男の内面を見せて出色だった。

 ところが第二シーズンになってグレン・A・ラーソンがプロデューサー・脚本になると、マクロードの性格が陽気で、女性に優しく男気のあるタフ・ガイに変わり始め、人気がぐんぐんと伸びていった。放送中は『刑事コロンボ』と『警部マクロード』『署長マクラミン』と人気を三分するほどのヒット作となった。

 日本語版はNET(現在のテレビ朝日)版は小林清志、NHK版は映画俳優の宍戸錠が演じて評判になった。ニューヨークの街を馬に乗って犯人を追うマクロードの姿は、このキャラクターのユニークな味わいを表わしていると思う。

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