2017/08/30

第47回 セリフも印象的なロボット・フライディ

 アーウィン・アレンは大学でジャーナリズム学を勉強して卒業後まずやった仕事がラジオ番組だった。「ハリウッド・メリー・ゴーランド」という映画の情報番組の司会・製作で、年間100人以上のスター俳優、宣伝マン、監督・脚本家を取材、全国の新聞にも記事を配信した。

 番組はヒットし、そのままTV番組化され、アレンは親しくなったスター、俳優や脚本家と映画会社との交渉を手伝ったりして、映画プロデューサーへの道へ進み始める。そのラジオ、TV番組のナレーターで使っていたのが俳優のデビッド・タッフィールドだった。

 デビッドはディズニープロのヒット作『快傑ゾロ』のナレーションを担当して、子供たちにとってなじみのある声になっていた。アーウィン・アレンは『宇宙家族ロビンソン』のロボットの声にデビッド・タッフィールドを採用した。「このロボットは知的で、丁寧な未来の執事のような声を出すんだ」と、アレンが注文、録音ブースでテストが始まった。でも全然感じが違った。「ちがう、ちがう・・・そんなじゃない。デビッド、これじゃ使えない」とアレン。タッフィールドは「自分の考えで発声させてほしい。あるプランがあるんです」と頼み、張りのある太い声でロボットのセリフを発声した。「DANGER! DANGER(危険、危険!)」「WARNING! WARNING(警告、警告!)」「これに少しエコーをかけて下さい」とタッフィールド。アレンはこう言ってしまった。「なんで最初からそう言わなかったんだ、これがロボットの声だ」と。 

 日本語版ではベテランの塩見竜介がフライディの声を担当、ユーモラスな味さえ感じさせる名演であった。


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