2017/08/30

第86回 イギリス警察物二人の革命児

 1970年代に入って、2つのTVシリーズがイギリスのポリス・ストーリーに新しい風を送り出した。『ロンドン警視庁特捜部スペシャル・ブランチ』が先行して、『謎の円盤UFO』のフリーマン役のジョージ・シーウェルがクレイブン刑事を演じ、若手刑事のデレン・ネビットが演じるハガティ警部を相棒に、公安警察の仕事でIRA闘争(イギリスのTV界ではアイルランド闘争がドラマでは長くタブーで、ないことになっていた)や政治家のスキャンダル、某外国大使館の犯罪、国際的な麻薬ルート、テロ犯罪との戦いと、単なる犯罪と戦っていたクライム・ストーリーに現実の様々な問題を大胆に盛り込んでいた。クレイブンが暗然となるラストも多く、このニガミのあるドラマは大人の味わいだった。

 そしてもう一本は『ロンドン特捜隊スウィーニー』のリーガン警部(ジョン・ソー)だ。元々映画の『リーガン』『リーガン2』というイギリス版ダーティー・ハリーみたいな映画があって、その主人公リーガン警部を主人公にしたTVシリーズがあるのだ。どなる、叫ぶ、手が出る、悪人よりも悪賢い刑事部長リーガン(日本語版の富田耕生はピッタリの好演)は、現代に生きる人間の匂いを色濃く放っていて、イギリスのポリス・アクションは変わったなあと見惚れるばかりだった。

 この延長戦にブライアン・クレメンス製作の『特捜班CI-5』がやってくるのだ。『スウィニー』がイギリスのポリス・アクションを変えたのがイギリス人の常識なのだ。

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