2017/08/30

第62回 不滅の 『プリズナーNo.6』

 世界的なヒット作になった『秘密情報員ジョン・ドレイク』は、モノクロTVシリーズで、製作元のITCはカラー化に向けて動き出した。ところが、ジョン・ドレイクを長年演じたパトリック・マクグーハンが別の企画をヤリたくなっていたのだ。『ジョン・ドレイク』のスタッフだった脚本のジョージ・マークステイン、助監督のデビッド・トンブリン、監督のドン・チャフィーを説得して、『ジョン・ドレイク』がカラー化3本進んだところで「このシリーズをやらせてほしい」とITC総帥ルー・グレイド社長のところへマクグーハンは乗り込んでいった。『プリズナーNo.6』の企画だった。

 7本のストーリーに対して「26本ないと世界でセールスできない」とルー・グレイド。どうしてもやりたいマクグーハンは自分で総合プロデューサー、監督、主演を条件にして26話の製作を確約した。ルー・グレイドはその条件でOKを出し、デビッド・トンブリンの会社アンブリン・プロが製作チームを組み、撮影が始まった。

 ところが作品の仕上がりにこだわるパトリック・マクグーハンが次第にわがままとワンマン振りを発揮し、プロフェッショナルなスタッフは衝突して離脱していく。(シリーズ構成のジョージ・マークステインが離脱したのは大きかった)作品も17話しか出来なかった。デビッド・トンブリンが得意の不条理タッチで埋めようとしても無理であった。ただし、作品はマクグーハン入魂の仕上がりで初めてTV放送で見た時「ここまで好き勝手に作ったTVシリーズを見たのは初めてだ」と感激、SFタッチのラストに感じ入ったものだ。

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